複数のばねが結合されてできたばねモデルを想定して、その中から直列に繋がれたばね2本の要素だけを抜き出したときに適用できるような一般的なばねモデルを考えてみます。
2本のばね要素をE1,E2とし、そのばね定数は、k1,k2とします。
各節点を左から節点n1,n2,n3とし、それぞれの節点の荷重fと変位uを節点の番号に合わせて設定します。この直列に繋いだ2本のばねモデルを以下に示します。
ばね要素の剛性方程式をたてた時と同様に、各節点に加えられた力の釣り合いは(1)式のように各節点の荷重で表すことができ、各ばね要素の変形は(2)のように、各節点の変位で表すことができます。
次に各ばね要素の変形に作用する力について考えます。
ばねの変形に作用する力は、ばねの両端に大きさが等しく逆向きの力が作用しているはずです。
ばねE1を見てみると、両端にf1,f2が作用しています。荷重f2はE1,E2の両方に作用しているため、E1に作用している力の大きさが分かりません。
しかしf1はE1のみに作用しているので、変形はこの荷重によって発生していると分かります。
そこで、ばね要素の剛性方程式を立てた時と同様に、(3)式のように表すことができます。
ばねE2に関しても同様に、(4)式のように表すことができます。
f2の荷重と変形の関係は、E1,E2両方の変形を考慮しなければなりませんが、(5)式のように(1)式を移行して、f1,f3に(3),(4)に代入すると求めることができます。
これら(3),(4),(5)式は、このばねモデルの剛性方程式となります。
荷重と変位をベクトル,ばね定数をマトリクスでまとめて、剛性方程式の式を表現すると(6)式のようになり、各節点の荷重と変位の関係をひとつの式で表すことができます。
ここで、このモデルの剛性マトリクスについてみてみましょう。
この剛性マトリクスは、式(7)に表すように、それぞれの要素が関わる部分だけにばね定数を入力したマトリクスの和になっていることが分かります。
フックの法則に従う場合の要素モデルは、それぞれの要素の剛性方程式を足し合わせることで全体の剛性方程式をたてることができ、このような性質を「重ね合わせの原理」と呼びます。
剛性解析は、この性質を利用してモデル内の全ての要素剛性方程式を足し合わせることで、全体の剛性方程式をたてることができます。