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2次元トラスモデルの全体剛性方程式

 2次元トラスの問題では、その変形量や各要素に加わる応力や歪みを求めることを目的に、沢山のトラス要素で構成された2次元トラスモデルを作成します。
そのため、これまでトラス要素1つに対する剛性方程式を求めてきましたが、トラスモデルを構成する全ての要素剛性方程式を重ね合わせて、骨組構造全体の剛性方程式を立て、全体の変形量が求めなければなりません。
そこで今回は、要素剛性方程式を重ね合わせて、全体剛性方程式をたてる方法を覚えます。
 

 やり方自体は簡単ですが、剛性マトリクスの構造をよく理解しておく必要がありますので、まずそこから説明します。

 節点i,jの2点で構成されるトラス要素の要素剛性方程式が、(1)のように示されていたとき、これを題材に要素剛性マトリクスが、どのような構造になっているか見直してみましょう。
 剛性マトリクスで注目すべきところは、各成分kの添え字と荷重,変位の関係です。

全体剛性マトリクス_01

剛性マトリクスの成分の前側の添え字は、全て荷重の成分と対応していて、後側の添え字は、全て変位の成分と対応しているので剛性マトリクスの各成分は、対応する荷重の成分と変位の成分を持っています。
 これを表にすると(2)のように表すことができます。
 例えば剛性マトリクスの成分k11であれば、業の荷重成分fxiと、列の変位成分uiと関係があることを示しています。

全体剛性マトリクス_02

 これを複数の要素が存在するトラスモデルに適応してみましょう。 
 あるひとつの節点が複数の要素と関係がある場合、各要素の剛性マトリクスには、同じ節点の荷重と変位に対応する成分kが存在します。これを、全体の方程式を構成する剛性マトリクスで同じ荷重と変位の関係になる成分は足し合わせることで、剛性方程式を重ね合わせることができます。
 

 言葉だけでは分かりづらいと思うので、具体例として、節点1,2で構成される要素 n と、節点2,3で構成される要素 m を重ね合わせて全体剛性方程式を作成するプロセスを考えてみます。
 節点1,2で構成される要素 n の剛性方程式は(3)で、節点2,3で構成される要素 m の剛性方程式は(4)で表されるとします。ここで、剛性マトリクスに付記されている「n」「m」は、任意の要素番号を表していることとします。

全体剛性マトリクス_03

二つの要素剛性方程式は、節点2がどちらの要素にも属していて、どちらの方程式にも節点2の荷重と変位の関係を結ぶ剛性マトリクスの成分kが存在します。

 これを全体剛性方程式とするために、荷重{F}と変位{δ}は(5)のように対応させて並べてみます。

全体剛性マトリクス_04

この時の全体剛性マトリクスの各成分を求めてみましょう。
 分かりやすくするために、要素 n ,mの剛性マトリクスと全体剛性マトリクスの3つの表とその対応関係を示します。要素 n の剛性マトリクスの成分はオレンジ線で囲まれた位置に、要素 m の剛性マトリクスの成分は緑線で囲まれた位置に対応します。

全体剛性マトリクス_05

 要素剛性マトリクスの成分kを、全体剛性マトリクスの荷重と変位が対応する部分に挿入していくと、何も当てはまらない部分と
単独で当てはまる部分、重なって当てはまる部分ができます。
 何も当てはまらない部分は、その要素にとって関連の無い荷重と節点になりますので、「0(ゼロ)」にします。
単独で当てはまる部分は、そのまま成分kを挿入し、重なっている部分は、その節点の荷重と変位に重なった分だけの要素が
関連しているので、足し合わせて「重ね合わせ」れば、全体剛性マトリクスが完成します。

 こうしてできた全体剛性マトリクスを(5)式の剛性マトリクス[K]の成分とすれば、全体剛性方程式は完成です。